カラフルキャラメル

-映画・美術・旅行など-(基本的にネタバレで好き勝手、雑に書いています)

海と大陸(TERRAFERMA)

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ストーリー:南イタリアのシチリアから遠く離れた地中海に浮かぶリノーサ島に暮らす20歳のフィリッポ(フィリッポ・プチッロは、代々漁師をやってきたプチッロ家の一人息子。父親を2年前に海で亡くし、今は70歳になる祖父エルネスト(ミンモ・クティッキオと共に海に出て生活を支えている。衰退の一途を辿る漁業から観光業に転じた叔父のニーノ(ジュゼッペ・フィオレッロは、船を廃船にして老後を楽しむべきだとエルネストを諭すが、エルネストは全く聞く耳を持たない。一方、フィリッポの母ジュリエッタ(ドナテッラ・フィノッキアーロは、息子を連れて島を離れ、ふたりで人生をやり直したいと考えている。そんな家族と過ごす中、フィリッポは将来に不安を覚え、自分の進む道が見えなくなっていた。やがて夏になり、島は観光客で溢れ活気づく。一家は家を改装し観光客にレンタル、自分たちはガレージで生活することになった。貸し出す客はマウラ、ステファノ、マルコに決まり、同世代の3人との交流にフィリッポも浮き足立つ。ある日、いつものように漁に出たエルネストとフィリッポは、アフリカからボートに乗ってやってきた数人の難民を助け、その中にいた妊娠中のサラ(ティムニット・T)とその息子をガレージに匿う……。(以上、Movie Walkerより)
神保町の岩波ホールにて鑑賞。先日のイタリア映画祭もそうだったけれど、岩波ホールもすごく久しぶりに行ったなぁと思い返してみたら、なんと2002年のフランチェスカ・アルキブージ監督『明日、陽はふたたび(Domani)』以来でした…
『ル・アーヴルの靴みがき』も移民問題を扱っているけれど、独特のユーモアあり、街のひとびとの人情や善意が溢れていたり、奇跡が起こったり、おとぎ話のような映画だった一方で『海と大陸』の方は行き詰まり感のある重たいトーンで眉間にシワを寄せながら観ていましたよ。
リノーサ島でバカンスを過ごす観光客のなーんも考えてなさそうなお気楽さ、明るさと不法滞在や難民というネガティブな要素が観光業に支障をきたさないかを気にしたり、振り回され、困惑する島民たちの正反対な構図。また、海で生きていく漁師たちの「どんな人種であろうが人が海で溺れかかっていたら助ける」という掟と難民を見つけたら警察に通報し、強制送還させるという法律との板挟みにあう島民たちの葛藤。夜中に、闇の海の中から難民が出てきて、フィリッポ達の船に向かって泳いできて、船に乗りこんでくるシーンはほんとに怖かったし、そこでフィリッポはおじいさんとは違う行動をしてしまうのもわかる…なのでフィリッポがラストに取った行動は希望へつながる。リノーサ島~シチリアまではかなり距離があるし、その後のシチリア~トリノ(難民母の旦那さんが居る場所)も恐ろしく遠いけれど…ぜひ成功したと信じたい。
昔、アルバニア難民の話になったときに、イタリアはカトリック総本山だから、難民を拒絶しきれないという話を聞いたことがあるけれど、どうなんだろう…
UNHCR難民映画祭というのがあって、2012年の映画祭で『海と大陸』『ル・アーブルの靴みがき』などが上映されたそうです。今年もあったら、参加してみようかな。http://unhcr.refugeefilm.org/2012/title/