カラフルキャラメル

-映画・美術・旅行など-(基本的にネタバレで好き勝手、雑に書いています)

セデック・バレ(賽德克•巴萊) 第一部 太陽旗/第二部 虹の橋

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猛々しい、生命力迸る、圧倒的な映画体験で、今のところ今年ベスト級。
4時間半中4時間戦闘シーンって感じでした。
日本統治下の台湾で実際に起こった台湾原住民セデック族と日本軍との熾烈な戦い1930年の霧社事件を扱った映画。アジア映画で占領下の日本軍を描いた作品を見ると(『イップ・マン 序章』など)、ばつが悪いというかなんともいえない複雑な気持ちになるのですが、この作品は反日を描いているものではないと思うし、こういった歴史的事実があったことをお互い知って欲しいという思いと台湾人のアイデンティティを描いた作品なのかなと。桜の花びらが舞うイメージ、ピンクというより赤く血を思い起こさせる色の濃い花びらが山の中を舞い、それが「紙切れ」に替わるシーンはあまりにも悲し過ぎて美しい。セデック族の男たちが誇り高くいられるのは女たちのおかげ、というように、女たちが選択した行動には言葉を失うくらいの潔さで...TBSラジオ、たまむすびで町山さんの映画紹介で言っていた、狩猟民族は「生き物は死んでも魂は死なない」という考えやセデック族の信仰の対象が虹で、死後は虹の橋を渡り、先祖のもとに帰るけれど、首狩りをして一人前の男「セデック・バレ」になり、顔に入れ墨をいれないとその橋は渡れないという考えがあるから、根本的に死に対して躊躇がないのだと思うけれど、胸がえぐられるような痛みを感じて観ていて辛かったです。昔、TVドキュメンタリーでヤノマミ族(アマゾンの先住民族)の女たちが出産した際、①人間の子供として育てる、②育てられないならば、シロアリのアリ塚に放置してアリに食べさせて精霊として返すという選択を取る、ということを見て、衝撃を受けたときと同じくらいセデック族の野蛮な誇りに打ちのめされた…『アバター』を観たときも思ったけれど、「文明」ってなんなんだろうな、と。ビビアン・スーはタイヤル族(台湾原住民)出身なんですって、初めて知りました。