カラフルキャラメル

-映画・美術・旅行など-(基本的にネタバレで好き勝手、雑に書いています)

高海拔之戀II(Romancing In Thin Air)

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香港旅行でDVDを購入。ジョニー・トー監督「黒社会」「放・逐」などのノワール路線じゃない、ラブストーリー。ジョニー・トー監督って、ロマンの塊のような人だから、すごくロマンチック!かつ上質な大人のラブストーリーって感じでした。ラブシーンがひとつもなく、手も繋がないんだよっ!でも、ふたりの心が通じ合ってる感じが雰囲気で判るんです(多くを語らず、映像で理解させることにとても長けている監督だと思う)。サミー・チェンとくれば、永遠のアイドル、アンディ・ラウとのコンビでやった方がよかったのかな?とも思ったけれど、あのMichaelのひとのよさはルイス・クーで正解だなと思いました。サミーがとても可愛かったなぁ。しみじみ。
「乗り越える」ということ。乗り越えなくても、壁の上に立つということでも大きな一歩だと思うし、とても勇気のいる行為。東日本大震災のときに思ったのが、津波の被害で行方不明になった人々の家族は、自分の感情にどのように折り合いをつけるか、考えるだけでとても胸が痛むことですが、サミーも同じ状況だったと思います。ある日、いきなり、身近な大切なひとがいなくなったことの大きな喪失感ととても深い愛情だったことに気付くこと、樹海に入るのを止めればよかったという罪悪感などなど。
ルイス・クーが自分自身で監督する映画(この映画が『高海拔之戀』で、この映画のタイトルにⅡが付くことが判る仕掛け)の中で、事実と異なるエンディングにするのですが、Q・タランティーノが『イングロリアス・バスターズ』や『ジャンゴ 繋がれざる者』で歴史的事実とは異なるストーリーを描いたのと同じく、または、ルイス・クーが劇的にプロポーズして、式の最中に彼女の同郷の幼馴染に『卒業』っぽくかっさらわれるカオ・ユエンユエンを『高海拔之戀』のヒロインに起用することで自分の中の今までの感情をも昇華させた、なんというか映画が持つ「力」や「希望や夢を与える」ということを感じさせてくれる素晴らしい作品でした。