カラフルキャラメル

-映画・美術・旅行など-(基本的にネタバレで好き勝手、雑に書いています)

映画監督ジョニー・トー 香港ノワールに生きて(JOHNNIE GOT HIS GUN!)

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香港の宝!ジョニー・トー監督にフランス人映像作家イヴ・モンマユールが8年間にわたって取材を行い、徹底して香港での映画製作にこだわり続ける理由や映画観を探っていくドキュメンタリー。撮影の裏側やメイキング映像、トーさんや常連俳優たちのインタビュー(みんな英語が上手いし...(←感心するところ、そこ!?))で構成されているのですが、もう楽しくて、いくらでも観ていたい、1時間は短いYO~!“インタビューに答えているトーさんの後ろで煙草吸いながら黙々と仕事しているロー・ウィンチョン”が見つけられなかったよ...残念。集中力が足りなかった?
トーさんは創ってみたいもの、アイデアが果てしなく溢れ続けて、身体が追いつかない、人間の一生は短過ぎるってタイプの人間ですよね。創造力の塊みたいな人だなぁ。しかし、全部を創り出す時間がなくても、信頼のおける周りの仲間たちがいるからこそ彼らに監督させて、作品をどんどん生み出しているんだと思うのですが、そういう意味ではファンにとっても、次から次へとトーさん作品が観られるので嬉しいことです。
香港に対するこだわりという点で『スリ/文雀』は香港の街並み、壊されていく古い建物、生活する人々など香港への愛情が詰まったステキな作品でした。建物に対するこだわりという点では、ちょうど香港の冰室についての本を読んでいたときだったので、『PTU』の撮影現場に出てきた「中國冰室」が出てきたときは嬉しかったわァ。
トーさんってものすごくロマンチストですよねぇ。ロマンだけで作品が構成されているんじゃないかって思ったり。だから説明を多用せず、映像で語らせることをしているんだと思います。あとあんまり観客に押し付けない、割と自由に捉えてってスタンスだと。常連俳優たちのインタビューを観て、いつも思うのは、トーさんの映画は撮影時にストーリーや脚本がないということがしょっちゅうで、だからそのやり方をわかってくれる、暗黙の了解で思い通りに動いてくれる俳優たちを使うと言っているのですが、それって俳優たちとの互いの理解力がハンパないってこと。指示はなく、監督の考え方に同化することや瞬発力を試されるワケだから、相当大変なはず…役者冥利に尽きるのかもしれないけれど。