カラフルキャラメル

-映画・美術・旅行など-(基本的にネタバレで好き勝手、雑に書いています)

スタートアップ(Start-Up)

f:id:colorfulcaramel:20200818170615j:plain

以下は、とても偏った感想です。フフフ、この度「セカンド・リード・シンドローム(second lead syndrome)」という言葉を知りました(笑) ほんとこれ… といっても、ジピョンがダルミと恋愛成就して欲しかったっていう気持ちは全くなくて、そもそもこの三角関係疑問派だったので、派でいったら、私は“ジピョンが幸せになって欲しい派”です。
秘密の森S1以来、久しぶりにリアタイ視聴しましたが、SNSの世界中の意見、考察、予想を読むことができて、この2ヶ月楽しかった!Redditって韓ドラもあるのね。掲示板特有の略語だけでなく、名前もめっちゃ略されていて、DS=ドサン、DM=ダルミ、HJP=ジピョン、PHRって誰??って思ってたら、脚本家のパクヘリョンのことで、まるで暗号!韓ドラ素人にわかるかっ!あと、過激派のディスを見るのはツラかったなー。ジピョン人気なのはよく解るけれど、なんていうか “ドサンのことは嫌いでもナムジュヒョクのことは嫌いにならないでください”みたいなことにまでなってしまうのは悲しいことです。物事、何にでも言えることだけど、一方しか見ないことによる互いを理解せず気に入らないから叩くって、たかがドラマですが、炎上商法からの“分断”の構造を垣間見た気がして、“韓ドラ”ってなかなか凄い世界なのねぇ… といろんな意味で感心した(笑) ふだんラブストーリーを殆ど見ないので。
Ep.12からのおつらみ展開にめげそうになったけど、最終話まで見て、散々文句を言ってたけど、私はこのドラマ好きです(それくらいハマったってことで)。Ep.1を見返した時、あー!もうEp.1で全てが出てるじゃん!って思いましたね。Ep.1のハルモニが「大丈夫、私がいるでしょ」とダルミを抱きしめるシーンと、最終話でハルモニが「大丈夫」とジピョンを抱きしめるシーンは対ですよね。「地図なき航海」もEp.1でSH VCのユン代表とダルミ父が話す「大海原で漂流中」、この時にユン代表は起業時に収益を追うのは海水を飲むようなものと言っていたけれど、これってジピョンがいつも口にする収益性重視、データ主義とは異なる考え方で、最終話のジピョンがハルモニの言葉に従い、養護施設に関するスタートアップに個人的に投資したことで、ジピョンの成長も見られたのはグッときました。ドサンの「地図なき航海」とジピョンの「地図を持たずに航海に出たら死んでしまう」でいったら、ダルミは起業に関して、お父さんの名前を会社名に入れていることでもわかるけど、お父さんの夢を引き継いでたと思うし、お父さんが「地図なき航海」派だから、実際に行動を共にしてくれ、やりたいことを実現してくれ、助けてくれるドサンを選ぶのは当然のことなのかなと。好きになるのに理由はないって言ってたけど、理由はあるだろって思うけど、そういうことは言わないw
このドラマ、何がツラかったんだろう?と考えると、ジピョンの孤独や苦しみや陰ながらの献身的な優しさを知っているのが、ハルモニと私たち(視聴者)だけだったっていうのがしんどかった。サブストーリーはジピョンとハルモニの物語なので、ハルモニが彼のことを理解し、癒す存在であることは言うまでもないけれど、その他に誰もいなかったっていうのが…(SH VCのドンチョンやユン代表もそばに居るから、彼を理解しているかもしれないし、最終話でちょっとだけ職場の和んだ雰囲気が見られてよかった)そうなると、視聴者が肩入れするのは脚本家の狙い通りだと思うけど、もう少しカタルシスが欲しかったな。ジピョンは素直じゃないし、嘘でごまかしたり、ちょっと上からな感じが威圧的だし、私がジピョンの部下だったら、ドンチョン同様、バッサリ提出書類にケチつけられてムカつきそうだしw、公私混同はむしろジピョンだよって感じだけれど、おせっかいで根が優しいひとなので、ハルモニが呼ぶ“good boy”(“ウブ野郎”という日本語訳はちょっとピンとこなかった)は、彼にとって呪いだったのでは。そもそも、ダルミとはビジネスパートナーであるし、もし行動を起こして悪い方に転べば、ハルモニとも気まずくなるかもしれないと考えたら、打席に立たない状態が彼にとって居心地のよい場所だったのではないかな。それがどんなに居心地がよくても、逃げていることになってはダメだということなんだろうけれど。物語を引っ張る存在でありながら平行線というか、ひとり交わらないのはなんでだろうと不思議に思っていたんだけど、Ep.1から桜の花びらの行方とか見てもこの物語はダルミとドサンの物語であるので、ジピョンの存在ってやっぱダルミとドサンを引き合わせるために居るのかな。ハルモニと創り上げた架空の人物(≠ジピョン)を実際に探し出し、ダルミの理想の恋人として仕立てあげようとするけれど、ふたりが出会ってからはあくまでも協力者だから、三角関係を成立させようとするのは無理がないかなと思うんですけどねぇ。だって、ダルミって全然ジピョンのこと、恋愛対象として見てる気配ないし、手紙の書き主が誰かバレた後も手紙のドサン(ダルミのイマジナリー)と実際のジピョンを重ね合わせて、何か想うっていう感じでもなかったじゃん(笑)
なんか極論、ジピョンが居なくてもストーリーが成立するのでは... と思ったら、昔、秘宝で町山さんと柳下さんの対談の中に『「スカイフォール」はストーリーからジェームズボンドがまるごと居なくなっても成立する話で、ボンドがただの傍観者』って言っていたのを思い出して、これなのではと思ったり... 結局、ダルミは自分でドサンを見つけ出したし、ドサンは自分から会いに行くわけだから、運命ですよね。手紙に関して、私は思い入れが強くなってしまったけど、このドラマでは掴みみたいなもんなのかも。でも、ダルミが交流会の前に巣箱に入れた手紙はジピョンが読むべきものだと思うので、これがドサンでなく、ジピョンの手に渡って本当に良かったと思ったし、あの文面で感謝は十分伝わってたのではないか。ドサンがアメリカに行ってた3年間、ジピョンとダルミは進展がなかったようだけど、感謝の言葉は今までたくさんもらったとジピョンが言っていたので、過去のことも話したりしたのではないかなと脳内で補完しましたw


借りを返すことに拘っていたジピョンになんでハルモニはもういいって言ってあげないんだろうってずっと思っていたけど、こんなやり取りになるなんてーー。孤独に慣れちゃダメっていうの良かったよねぇ... 私なんて孤独に慣れちゃってるから、グサッときたよ... キムソノの演技、良かったですね!ふだんあんまり「この人の演技すごいなー」って思うこと少ないんだけど(近年思い出す限り「ブロードチャーチ」「女王陛下のお気に入り」のオリヴィアコールマンとか、「ルーサー」のニコラウォーカーとか、「秘密の森」のチョスンウとか、「パラサイト」のソンガンホのラストのあの表情とか...)、キムソノも上手だなって思いました。
しかし、ドサンはアイデアを出したり、主体的に動くタイプに見えないけど、なぜ新卒(学生時代?)で起業しちゃったんだろうね?ジピョンとの殴り合いでめっちゃ引いた私ですが、うちの母親が、いちばん弱い人間がいちばん暴力的だとサムペキンパーの映画で言ってた、と言うので(笑)、そ、そうなのかな。エンジニアの生態はよく知りませんが、ドサンはなんか天才芸術家っぽかったし、そう思ったら割と納得(笑) 2STOとの契約でシリコンバレーに行くことになって、なんとなくアメリカで忙殺されて、揉まれて、刺激を受けて、成長して帰ってくると想像してたのに、アメリカがコンフォートだったんかいってw 企業に属していたからっていうのもあるけど、そうですか、退屈だったのか~ サムサンズは帰国時ちっとも成長してなくて笑ったよw 自分がもういい大人で、いろいろな会社で長く会社員やってきて身に付けた嗅覚みたいなものがあるので、ジピョン同様、こいつら何かやらかさないか....っていう不安のほうが大きくて、いつもハラハラ、イライラしながら見てました。最後、昔のオフィスに行って、みんなで泣いてるの良かったよねw
そして、いちばん好きだったのは、終始ブレない姉のインジェかな!インジェ インジェ インジェ ヤー!(笑) ラストの4人で並んで歩くときの笑顔ステキだった!

f:id:colorfulcaramel:20201230124503p:plain