カラフルキャラメル

-映画・美術・旅行など-(基本的にネタバレで好き勝手、雑に書いています)

天使の分け前(THE ANGELS’ SHARE)

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ケン・ローチ監督、スコットランド、ウィスキーと好きな要素ばっかり!ケン・ローチにしては、暗い気分にさせられる作品ではなく、コメディとしてほぼほぼ爽やかな気分で劇場を出れる作品です、というのも、負の連鎖から抜け出すために手段選ばずでよいのか?っていう感は否めないのでね…しかし、幻のウィスキーをオークションで1億円越えで競り落としたひとがそのウィスキーを飲んで「サイコー!」と言っていたように、所詮味なんてわからない、混ぜ物だってバレやしないじゃんーとシニカルなところがよかった。
スコットランドの「家」対「家」の理不尽な闘いや労働者階級の失業率の高さ、そもそも職に就けない状況、職に就けないから、生きていけないといった負の連鎖をどう断ち切っていくか。スコッチウィスキーは高いから飲んだことがない、ウィスキーをワインのように香り、味わいを楽しむということを知らない底辺のスコットランド人たち。
「なぜ、自分に親切にしてくれるのか」というロビーの問いに、「今までに自分が親切を受けてきたから、今度は誰かに親切にしてあげる」と答えるシーンは、(次元が違うけれど)私が若い頃にした貧乏旅行の中で、なぜここまで親切にしてくれるのだろうと思うひとびとにたくさん出会って、助けてもらってきたから、困っている旅行者が居たら、今度は自分が助けてあげようって思っているので、ロビーもどんどん誰かに親切にしていくんだよって思っちゃった。
終盤のあるシーンで、劇場内が「あぁ!」って声を上げていて(笑)…そのあとに物をことごとく知らないバカなアルバートが、『ライジング・ドラゴン』の中に出てくるオークションで世界に4枚しかない切手を競り落としたあとに3枚を破り「世界に1枚しかなければ、もっと価値が上がる」の理屈と同じことを言い出したのでスゴイじゃん!ハハハ。
スコットランドを旅行したとき、グラスゴーの若者が話す英語の訛りがものすごくてほんとに英語喋っているの?っていうくらい何言っているかわからなかったのとか思い出して、懐かしくなりました。あと、アーン・ブルーというスコットランドで売られている清涼飲料のボトルに盗んだウィスキーを入れているところがツボ。